入荷情報【古代ローマ建国神話雌狼に育てられた双子】

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入荷情報【古代ローマ建国神話雌狼に育てられた双子】 アンティークコイン好きなら誰もが一度は気になる古代ローマ

【古代ローマ建国神話雌狼に育てられた双子】

中でも安定して人気なのが、建国伝承《狼の乳を飲む双子》のデザインです。
通算600年の長きにわたって発行され、人々に愛されたこのモチーフ! 一体これにはどんな意味が?

①ローマ建国伝承とは?
②双子を育てた《狼》の正体
③《ローマの母》は実在した?

まず、このコインの情報 コンスタンティノープル創建(首都移転)記念銅貨(330年) ローマ帝国内13の造幣所で作られた


▶︎コンスタンティヌス1世が首都をローマからコンスタンティノープルに移転(東方戦略のため)
▶︎『古いローマから、新しいローマへ』という国家イベントを祝福し、宣伝するための少額コイン

何が買えた?
パン1~2個
安いワイン1杯
公衆浴場の入浴料
→庶民の最低限の生活費を支える小銭

コインに秘められた物語

① ローマ建国の物語とは…?
マルス神×王家の血を引く双子ロムルスとレムス。川に流されるも雌狼に育てられ、BC753にローマを建国。 兄ロムルスがレムスを殺して初代王に。 BC3C~口伝から整理された形で登場

人物は実在はしないといわれるが
《⑴王政▶︎共和政への正統性 ⑵壮大さ誇示》のためにローマ人が必要とした創世神話のようです

②雌狼はメタファー 狼はローマで愛された動物の一つ
《強さ、繁栄、生への執着》の意味を持つ! ラテン語で「雌狼」=lupa(ルーパ)
バレンタインデーの由来になったルペルカリア祭(生殖と豊穣の祭)の語源でもある

さらにlupa は娼婦を意味するスラングだったとも。

このため、最新の研究では《ローマ建国の母は、娼婦を指すのではないか》という説も

③《ローマの母》娼婦の神格化? 歴史学的に支持されているのが、アッカ・ラーレンティアという娼婦。彼女は「市井の女性/娼婦 → 豊穣と死を司る聖なる母」という形で、ローマ内で神格化されていく…!

娼婦の”神聖”性 「性愛+豊穣+死生観」が結びついた“大いなる母”のイメージを持って、アッカはローマでシンボル化する

例えば、アッカにちなんだローマの祭日の1つ《ラーレンタリア》は12月23日。死者の魂を鎮める祭り

▶︎古代社会では「生むこと/愛すること/死を見送ること」はすべて女性の力と信じられていたみたい!

↓さらに構造的にdigるよ↓

アッカ・ラーレンティア

‘多文明的エッセンス’を持つアッカ・ラーレンティアは【ローマという国家のmixカルチャーそのもの】と重なる

クレタ・ミケーネ文明の《地母神的性格》…大地・豊穣・出産を司る女性神=母性と自然との結びつき
シュメール文明(イナンナ)の《神聖娼婦的性格》…性と豊穣を媒介する存在としての娼婦
ギリシア文明(アフロディーテ)の《美と官能》…女性の魅力による神聖性=母性とセクシャリティの両立

イタリア半島の土着信仰としての《神獣・狼トーテム》…守護・自然の象徴

つまり

地中海世界まるごとを体現した習合のシンボルが《ローマ建国の母》アッカ・ラーレンティア だったともいえる。

さらに【市民から神に昇格した存在】という形で、ローマ人の多層的アイデンティティや’市民国家’としての理想を象徴している

《強い父より育む母》を好んだローマ人
▶︎ローマ建国神話が「強いパワーを持つ唯一神╱英雄譚による【父権的な創世神話、国家建設神話(≒帝国主義的)】ではなく【母源的な性質】を持つ

…というのにも、当時のローマの人々が国家に抱いた理想を知るヒントになってくる

市民社会の多様性と統合国家像のロマン
▶︎ロムルスとレムスの物語は、紀元前4世紀頃にギリシャ文化の影響を受けて形成されたそう。

この時期のローマは、王政から共和政への移行期。

貴族と市民の間で権力闘争が激化していたため、【市民社会としての起源とありかた】を強調する必要があったのだとも。

近年まで研究が続いているテーマだそうです。

《まとめ》

「双子と雌狼」デザインのコインが、約600年間、古代ローマ時代に何度も姿を変えて登場したのは、そんな深〜い意味とロマンがあるんですね!
古き地中海の世界からローマへと続いたプリミティブな信仰と、国家として目指した理想像…

その後はキリスト教の拡がり→教会との癒着、そして帝国の目指すヘゲモニーによって、それらが失われ壊れていく歴史を、後世の我々は知っている。

世界の不均衡があらためて浮き彫りになっている21世紀の社会だからこそ、改めて
《古代ローマの名もなき人々が語り継ぎ求めたロマン》の現物を手に取って想いを馳せてみるのもいいのかも

…こんな考察や妄想も大好物な《TLC歴史文化宗教リサーチ班》あやかがお届けしました

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記事のポイント3つ

  1. 建国神話の象徴デザイン
    • 古代ローマの銅貨に描かれた「雌狼と双子ロムルス&レムス」の意匠は、王政から共和政への正統性を示す建国伝承を象徴。
  2. 雌狼の多層的な意味
    • ローマでは雌狼は《強さ・豊穣・生命力》の象徴であり、同時に娼婦を意味する隠喩も含む。ローマ建国の母=娼婦神格化説も近年注目されている。
  3. 多文明の習合と市民国家の理想
    • クレタ、シュメール、ギリシャ文化の要素を融合し、地中海世界の多様性を体現。ローマ人の「市民社会」としての自己認識をコインに込めた。

引用元
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