高さ38mの巨像が港を跨ぎ、多様な民と風習が入り交じった古代ギリシャの海上都市ロドス島。
銀貨に刻まれた守護神ヘリオスと薔薇のシンボルは、単なる装飾ではなく宇宙的な意味を持っていたのかもしれません。
今回は紀元前2世紀のロドス銀貨(ARドラクマ)を通じて、神話・天文・交易の世界へご案内します。
コイン情報:ロドス銀貨 ARドラクマ
 
 
・単位:AR Drachm(ドラクマ銀貨)
・素材:銀、約2.6g前後(比重10.5)
・表面:太陽神ヘリオス
・裏面:薔薇とミントマーク(水瓶など)
・購入力:小麦1袋、ワイン2本相当
・ヌミスタ希少指数:100(希少)
この銀貨は交易が盛んだったロドス島で広く流通し、日常生活に欠かせない存在でした。
ヘリオス神とは何者か
ロドスの守護神ヘリオスは、ギリシャ神話では太陽神として知られていますが、この島では都市の共同創造を象徴する存在でした。
高さ38mの巨像として港に建てられたヘリオスは、命令する神ではなく「共に都市を作る神」。
エジプトの裁きの神やゾロアスター教の二元神とも異なり、協働者として崇拝されました。
300年以上変わらなかったデザインの謎
ロドス銀貨は3世紀以上もの間、《ヘリオスと薔薇》の意匠がほとんど変わらず刻まれ続けました。
特に注目されるのは薔薇の横にある小さなミントマークです。
今回のコインでは水瓶(Aquarius)が刻まれていますが、時代や暦に応じて月、蜂、貝殻、隕石など様々なモチーフが使われてきました。
これらは都市神官や季節、天体のサイクルを示す記号であり、通貨が宇宙カレンダーのような役割を果たしていた可能性があると考えられています。
「薔薇の島」の由来と象徴
ロドスという地名はギリシャ語の「薔薇」に由来するとされますが、実際にはフェニキア語の「rodo=浮かぶ・輝く」が起源ともいわれています。
薔薇の花弁の幾何学模様は黄金比や星の軌道を連想させ、光・調和・宇宙を象徴しました。
交易都市として多民族が共存するロドスにおいて、薔薇は「善悪」や「選民」ではなく、空と星を共に仰ぐ普遍的なシンボルとして受け入れられたのです。
銀貨に刻まれた“星と人の協働”
ヘリオスの肖像、薔薇の幾何学、天文記号のミントマークは、単なる貨幣のデザインではなく、人々が宇宙と同期して暮らしていた痕跡だとも考えられます。
為政者が変わっても銀貨の意匠が長く保たれた背景には、《天空とともにある共同体=ロドスの民》の誓いが込められていたのかもしれません。
巨像建築の謎と古代の叡智
38mものヘリオス巨像は、一体成型ではなく内部に鉄骨フレームを組み、青銅の外装パーツを接合するという高度な技術で建てられました。
当時の技術水準を超えたこの構造は、自由の女神の建築法にも似ており、「失われたアトランティス文明の技術」や「宇宙由来の叡智ではないか」といった説を呼んでいます。
まとめ
ロドス銀貨はヘリオス神と薔薇の意匠を300年以上守り続け、宇宙カレンダー的な役割を持ったとされる
港にそびえた巨像と高度な建築技術は、古代文明の叡智や伝承との関連を示唆している
この銀貨は交易都市ロドスの文化と、星と人の協働の歴史を今に伝える貴重な遺産である
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