時代の悲哀、一時代の終わりに思いを馳せる。
そんなコインがあってもいいのかもしれない──。
🕍 “最後の中世”を刻む聖ゲオルギオス
1745年に即位したエイトル2世は、すでに高齢の“超短命君主”。
在位わずか3年で没した彼のコインには、竜を退治する聖ゲオルギオスが刻まれています。
その構図が物語るのは、時代に取り残された小国と君主の悲哀。
まさに《最後の中世》を象徴する一枚です。


🏰 フリートベルクとは?
📍場所:ドイツ中部・フランクフルト近郊
📍特徴:周囲の多くがプロテスタント化する中、
帝国直轄都市として“カトリック╱ハプスブルク家”への忠誠を貫いた数少ない都市。
銀の産地ではなかったにもかかわらず、
ターラー(約28g・高品位銀)を発行できたのは、
ハプスブルク家の庇護があったからこそ。
つまり、このコインに描かれた
【都市の紋章🏰・領主の紋章🦁・竜退治の聖人⚔️】
──すべてが「忠誠の証」だったのです。
⚖️ “信仰の守護聖人”の終焉
18世紀半ば、ヨーロッパはすでに宗教の時代から
啓蒙思想・金融・科学の時代へと大転換を迎えていました。
プロイセンの勃興、フリーメイソンの台頭──
信仰に頼る社会は、静かに終わりを告げていきます。
遅すぎた「信仰の守護聖人」。
しかもオーストリア継承戦争で銀は軍備に溶解され、
この美しいターラーはほとんど失われてしまいました。
フリートベルクとエイトル2世。
誰にも顧みられず終わりを迎えた彼らの姿は、
まさに【コインに描かれた最後の中世】そのものです。
🪙 驚異のレア度【ヌミスタ指数100💯】
- 鋳造枚数:わずか数百~千数百枚
- 現存推定:数十〜百枚前後(一生に一度出会えるかどうか)
- 状態:MS63=博物館級のハイグレード
コレクターの間では「帝国小国ターラーの中でも幻クラス」と評される存在。
その美しさと背景が、時代の空気を凝縮しています。
🌍 現代へのメッセージ
╲同じ構図、現代にも見えませんか?╱
イノベーションが進む21世紀。
それでも世界には、宗教対立・戦争経済・迎合的な小国がいまだ存在します。
“変化を恐れ、旧体制に縋る者たち”
──まるでエイトル2世のように。
歴史は繰り返す。
このターラーは《一時代の終わり》と《変化の風》を同時に刻んでいます。
💬 まとめ
- 聖ゲオルギオスの竜退治=“忠誠”と“終焉”の象徴
- 発行量わずか、ヌミスタ希少指数100の幻級ターラー
- 時代の変化を映す「最後の中世」銀貨
レアだけじゃない──
《ドヤ顔の聖人に漂う、哀愁と誇り》。
一度は手に取って眺めたい、とっておきの1枚です🍂
参照



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