【ショーケース裏のコインたち】フランスのキャバレー・カフェ・ピンボールトークン総まとめ(1900〜1937)

03近代
  1. 「トークン」とは?
    1. トークンのルーツはたしかに会計用なんだけど‥
    2. トークンの種類
    3. トークンが世界で本格的に使われた年代帯
    4. 使用されていた主な国
    5. 主な用途
    6. どんな見た目?
    7. コレクション価値は?
  2. 実際のトークン(フランス)
      1. フランス 20c キャバレートークン
      2. フランス・キャバレートークン(10サンチーム)
      3. フランス・サラマンダー図柄 10サンチーム店内トークン
      4. フランス 20サンチーム・バル=ミュゼット店内用トークン(A CONSOMMER)
      5. フランス 20サンチーム・カフェ/キャバレー店内トークン(A CONSOMMER)
      6. フランス・穴あき10サンチーム店内トークン(A CONSOMMER)
      7. フランス 20サンチーム・ローカルトークン(地方流通・補助貨幣型)
      8. フランス 20サンチーム店内トークン(D.D. 型/キャバレー・バー用途)
      9. フランス 50サンチーム店内トークン(ナンバリング“1・2”型)
      10. フランス YOLANI 店名刻印入り 50サンチーム・サロン/キャバレートークン
      11. フランス 10サンチーム店内トークン(番号札“37”型)
      12. フランス・ローカル店内用 10サンチーム・チップトークン(No.96)
      13. フランス 店内用サービス・トークン「10 CENTS」
      14. フランス 30サンチーム《A Consommer》キャバレー・ダンスホール店内トークン(1902–1937)
      15. フランス・キャバレー/サロン用20サンチーム店内消費トークン《Le Rendez Vous》刻印タイプ
      16. グラス刻印入り・10サンチーム 店内消費トークン
      17. BAJAZZO(バヤッツォ)・クレジットコイン
  3. フランス夜文化トークン総まとめ(1900〜1937)
  4. 1. カフェ・バー・キャバレー用トークン(10〜30サンチーム)
    1. ● 用途
    2. ● 特徴
  5. 2. 店名刻印トークン(例:Le Rendez Vous)
    1. ● 用途
    2. ● 歴史的背景
  6. 3. 客番号チップ(例:217番)
    1. ● 用途
    2. ● ポイント
  7. 4. ピンボール(バヤッツォ)用トークン(30クレジット)
    1. ● 用途
    2. ● 歴史的背景

「トークン」とは?

“代用貨幣”。本物のお金(法定通貨)じゃないけど、特定の場所や目的の中でお金っぽく使えるメダル・札・コインのこと。

トークンのルーツはたしかに会計用なんだけど‥

王室会計用 からはじまって(主に銀製、細工も細かい)

秘密結社が使ってたのもあって(ニュルンベルクの商人たちが秘密取引で使ってた会計用トークン、主に真鍮製)秘密結社みが強い╱王族を揶揄するデザイン

そのまま、その文化の派生系としてノートゲルト╱ジェトンでの金融詐欺(貴金属巻き上げ)が起こるのが20世紀初頭。これは地域経済╱金融機関╱国家の共犯関係←商工会議所とかが発行する。主にアルミニウム製╱だいたいヘルメスの杖とかのデザイン

交通系トークンも、この流れを汲んでる(ドイツ、フランス)庶民の銀貨銅貨を、生活インフラのためだからと、アルミニウムに替えさせる

トークンの種類

  • 商業トークン(キャバレー、酒場、劇場など)
  • 交通トークン(地下鉄・バス)
  • ゲーミングトークン(カジノ)
  • 行政トークン(税金の支払い代替、救貧院チップ)

※トークンは基本的に「貨幣不足のとき」「現金管理を避けたいとき」「特定施設内の経済圏を作りたいとき」に使用される


トークンが世界で本格的に使われた年代帯

1800〜1950年:黄金期:貨幣不足・産業革命・夜の店文化の隆盛で一気に広まる

1950〜1970年:下火:正規の貨幣供給が整い、代用貨幣の必要性が減る

1970〜2000年:特殊業種のみ:カジノ・遊園地・クラブのみトークン継続

2000年以降:ほぼ電子化:物理的トークンは急減、コレクション領域へ

使用されていた主な国

トークンが存在した国:世界の90%以上
娼館・キャバレー系トークンが特に強い国:フランス・ベルギー・アメリカ
酒場やカフェトークン:欧州全域・南米・アメリカ
日本にも実質トークン文化があった(木札・花街引き札)

主な用途

  • ドリンク交換券
  • ステージ観覧・ショーの入場券
  • 店内の女性/スタッフとの時間交換チップ
  • 売掛防止のための前払いメダル

当時は「現金管理がめんどい」「スタッフが横領しがち」「客の金を一箇所でまとめたい」みたいな現実的理由が多い。

でも裏では…


どんな見た目?

  • 真鍮、銅、アルミ製が多い
  • 「BON POUR 1 BOISSON(1杯ぶん)」
  • 「CABARET DU…」「CAFÉ…」MAISON CLOSE(娼館)
  • 番号だけの無骨なタイプ
  • 娼館名+女性のシルエットの刻印(めっちゃ人気)

19世紀後半〜20世紀前半がピーク。


コレクション価値は?

ジャンル全体としては “そこまで高額じゃないけど、デザインやストーリー性で人気”

  • 普通のキャバレートークン:2,000〜8,000円
  • おしゃれな図柄・有名店:1〜3万円
  • レア娼館系:5〜10万円(ごく一部)

歴史×文化×デザインという三位一体の世界


実際のトークン(フランス)

フランス 20c キャバレートークン

フランス 1902〜1937

“Le Rendez Vous”
ル・ランデブーという夜の店で使われた。席やドリンク用
20サンチーム
店内用トークン
戦時下 統制、緊縮のときでも民衆にロマンス・娯楽の余白が残された。

サンチーム:※単位。ドリンク1杯が10〜25サンチーム

微かではあるが店名と思われる
「Le Rendez Vous」の刻印


フランス・キャバレートークン(10サンチーム)

フランス 1902〜1937

ベル・エポックから戦時中
キャバレーでチップやドリンク用途でつかわれた。
“B”モノグラムは店のイニシャル?
バイメタルなので都市部の人気店の顧客用。
10サンチーム
店内用トークン

“CONSOMMER” :フランス語で「消費する」= 1杯分の消費券(ドリンク)


フランス・サラマンダー図柄 10サンチーム店内トークン

フランス 1902〜1937

サラマンダー型(トカゲ)
都市部のキャバレーで使われた。

10サンチーム
店内用トークン

動物紋章は客にとっては覚えやすく警察・税務署にバレにくいメリットがある

パリ・ルーアン・マルセイユで多かったタイプのキャバレー&娼館バーのような文化。
サラマンダーは炎の炎と夜の守護の象徴。
“A CONSOMMER”「消費用」「使用してね」「1杯交換可」

N° 475156


フランス 20サンチーム・バル=ミュゼット店内用トークン(A CONSOMMER)

フランス 1902〜1937
20c A CONSOMMER

地古都市やパリの下町、労働者や下級兵士の社交場「バル・ミュゼット」系で使われた。
ドリンクや女性ダンサーへのチップ

20サンチーム(キャバレー)
店内用トークン

“20サンチーム分の消費(A CONSOMMER)として使える店内専用メダル
額面20サンチームは、当時の“安い1杯”の価格帯に相当し、
労働者や兵士が夜を過ごす場の文化をそのまま残している。


フランス 20サンチーム・カフェ/キャバレー店内トークン(A CONSOMMER)

フランス 1902〜1937

カフェ文化の中で、主にドリンク1杯のプリペイド的に使われた。
オーソドックスでどこでも使えた“A CONSOMMER”型。

20サンチーム
ジェトン
ニッケル真鍮

「A CONSOMMER」=消費用(ドリンク券)
全国の中〜小規模店で共通的に使われたフォーマット


フランス・穴あき10サンチーム店内トークン(A CONSOMMER)

フランス 1902〜1937

ミルドの複雑さから都市部の大型キャバレーで使われていた
モデルとわかる(パリやリヨン)
軽いチップやダンス1曲などで使われた。
戦時下で自由を享受。ガス抜きのベル・エポック

10サンチーム
店内用トークン

キャバレー・クラブ・バーの入口で10フラン札を渡すと店内トークンが20〜40枚とか束で渡される。
客は店での支払いでそれを使う。

穴があいてるのは計上しやすくするため。


フランス 20サンチーム・ローカルトークン(地方流通・補助貨幣型)

フランス 1900〜1930年代

地方で使われた生活密着トークン。
小銭不足を補う。
パン1つ、ワイン1杯、タバコ1ヶなど
店のあいだをぐるぐる循環していたローカル貨幣。

20サンチーム
ローカルトークン

「どこでも使える」ことを重視したミニマル設計。
複数店舗が“地域内通貨”として共有するためのデザイン。


フランス 20サンチーム店内トークン(D.D. 型/キャバレー・バー用途)

フランス 1902〜1937

1900〜37年
フランスでは夜遊び文化が爆増した。
一方で国家は規制ガチガチに。
店側はグレーゾーンとして経営の自由度をあげるためにトークン文化が花開いた。

店内用
ドリンク&チップ
トークン

裏面に大きく 「D.D.」 と刻まれているタイプは、サービス区分・ランク を示すことが多い。


“Double Drink(ダブルドリンク)” の頭文字:カクテル強め、または2杯分相当のサービス
“Dame / Danse” の略:女性サービス系 or ダンス1曲券(実際に “D.D.” はダンスチケットの略号として非常に多い)
後者の可能性が高い


フランス 50サンチーム店内トークン(ナンバリング“1・2”型)

フランス 1902〜1937

ナンバリングのアナログ感でローカル店といろことがわかる(席札)
常働者・職人などの憩い
若者の出会いの場だった生活密着の夜文化。

地方の小規模キャバレー
店内トークン

50サンチーム=少し高めのサービス用
ドリンク2杯、軽食1つ、ダンス1曲 など
周囲のミルド(ギザ)は偽造防止+共通規格

ローカル店が既製の50cトークンに数字だけ自前で打刻した“併用仕様”


フランス YOLANI 店名刻印入り 50サンチーム・サロン/キャバレートークン

フランス 1902〜1937
店名入りで額面も大きい
高級サロンで半分キャバレー、半分カジノのような店のチップ
ちゃんと納税しつつ、警察も抑えこめでいた
ウラとオモテが交錯するダークな銀座や赤坂
YOLANI打刻入り
サロン・カフェトークン
50サンチーム

店名刻印入りはかなりレア。
普通のキャバレーは “店名を入れない”
→ 税務署・警察に足がつく
→ 他店間流通で困る
→ 運営がグレーだから
つまり店名無しが基本。

それでも刻印した店=“合法寄り × 高級
店名入りは「これはうちの店の正式なチップです」と宣言しているのと同じ。


フランス 10サンチーム店内トークン(番号札“37”型)

フランス 1902〜1937
カフェやダンスホールで使われた。
クロークや座席札、会計時に精算用として。戦時下でも避難的な社交場、兵士の休息場、として機能した。

10サンチーム
店内用トークン
これが珍しい理由

キャバレーやカフェは本来、
「店名なし」「番号なし」 が多いが、
番号入りは 店舗が組織化されていた証拠。→ 小規模店より“中規模店”の特徴。

戦争中でも休息やガス抜きの空間を民衆に“余白”として与えたのは、“理想と享楽の両輪”を実現するため。
民衆が疲れると暴動が起きることと、
いわゆる“啓蒙思想のパターン”として。

“A CONSOMMER=店内で消費せよ”
と刻まれた ドリンク券・サービス用トークン

番号札 × 店内消費トークンの複合タイプ はレア。


フランス・ローカル店内用 10サンチーム・チップトークン(No.96)

カフェやダンスホールで使われた。クロークや座席札トークン。会計時に使われた。
戦時下でも非難的に娯楽文化

戦争中でも休息やガス抜きの空間を民衆に“余白”として与えたのは、“理想と享楽の両輪”を実現するため。
民衆が疲れると暴動が起きることと、いわゆる“啓蒙思想のパターン”として。

10 centimes(10サンチーム)=最低ランクのドリンク/チップ単価
カフェ代:10サンチーム
ワイン薄め1杯:10〜15サンチーム


フランス 店内用サービス・トークン「10 CENTS」

フランス(マルセイユ、ボルドーなど)
1902〜1937

“CENTS” 表記はレア
港湾都市で外国人も多く利用する
キャバレー、クラブ、バーなどで使われた
ベル・エポック文化のチップ用トークン

店内用
10サンチーム トークン

10CENTS
外周:放射状のギザ模様

裏面も額面のみで店名なし。
多店舗・広域で使える“汎用トークン”だった証拠


フランス 30サンチーム《A Consommer》キャバレー・ダンスホール店内トークン(1902–1937)

フランス 1902〜1937
1ドリンク付き入場のダンスホールやキャバレーで客番号として使われた。
国家統制や税のスリ抜けツールとしてのアングラ文化の象徴。店側の工夫、戦略。
30サンチーム 店内用トークン

30C A CONSOMMER

(=“30サンチーム分、店内で消費せよ”という意味の典型的キャバレートークン刻印)


フランス・キャバレー/サロン用20サンチーム店内消費トークン《Le Rendez Vous》刻印タイプ

フランス 1902〜1937
“Le Rendez Vous”
ル・ランデブーという店の名。
飲食、ダンス、
恋愛の香りをただよわせる定番の名前。
裏の数字は席やクローク番号。
20サンチーム
店内用トークン

戦時・緊縮・統制下でも、ロマンス、色恋、娯楽の余白が残された。
(ロベスピエールの教え的な)
革命や不満の暴発を防ぐため。

番号入りは 「席番号・クローク番号」 が最も濃厚


グラス刻印入り・10サンチーム 店内消費トークン

フランス 1902〜1937
夜の文化の全盛期(ベル・エポック)

大恐慌〜戦時統制の中でカフェやキャバレーでサービスに使われていた
(ドリンクや女性用のチップとして)
カフェ・バー
ドリンク1杯チケット
10サンチーム
店内トークン

グラス刻印 : “ドリンク専用”の証

10
A CONSOMMER(=要消費)


BAJAZZO(バヤッツォ)・クレジットコイン

フランス 1900〜1930年代

当時ヨーロッパ全域で大流行したピンボール。景品機が Bajazzo
フランスのバーでは当たると1ドリンクやアペリティフ1品などが“もらえた”
ゲーム用クレジット/コイン(30回分)

用途が「ピンボール景品用」という超ニッチ分野。Bajazzo(バヤッツォ)機専用コインは供給数が非常に少ない

レアな一枚となっている

小さなギャンブルがヨーロッパで大流行してたのは、欧州の大戦時期のストレス処理システムだった。

ガス抜き装置として文字通りの役割を果たしたピンボール台。

フランスだけでなく、イギリス、ドイツ、ベルギーなどでも。国家ももちろん黙認していた。

(中央のコイン:30

フランス夜文化トークン総まとめ(1900〜1937)

ベル・エポックから戦時統制まで──“夜のパリ”を支えた小さな金属片たちの世界。


1. カフェ・バー・キャバレー用トークン(10〜30サンチーム)

● 用途

  • ドリンクチケット
  • 女性用サービスチップ
  • 席番号・クローク番号管理
  • 入場時の番号札代わり

● 特徴

  • “A CONSOMMER(要消費)” の刻印が多い
  • 戦時統制下でも消えなかった「娯楽の余白」の象徴
  • 店名入り(例:Le Rendez Vous)は発行数が少なく希少

2. 店名刻印トークン(例:Le Rendez Vous)

● 用途

  • ディナー・ダンス・恋愛系の夜の定番スポット
  • 席番号・クローク番号入りのバージョンも存在
  • 個店ごとのオリジナル発行なので現存数が極端に少ない

● 歴史的背景

  • ベル・エポックの“恋愛産業”の象徴
  • 戦時統制でも完全には禁止されず、
    市民の不満爆発を避けるため娯楽は残された

3. 客番号チップ(例:217番)

● 用途

  • 1ドリンク付き入場券
  • 番号でサービス管理
  • 税や統制の“すり抜け用”として店側の工夫も反映

● ポイント

  • 数字刻印はパターンが膨大だが、
    “残存している番号”が非常に少ない

4. ピンボール(バヤッツォ)用トークン(30クレジット)

● 用途

  • 当時ヨーロッパで大流行した景品ピンボールのクレジット用
  • フランスのバーでは、当たると
    “1ドリンク or 軽食” がもらえるギャンブル的システム

● 歴史的背景

  • 大戦時ストレス処理システムとして普及
  • イギリス・ドイツ・ベルギーなど他国でも使用
  • 消耗パーツで廃棄率が高く、現存数が非常に少ない

もし気が向いたら、
アメ横の小さな当店にもフラッと寄ってみてね。

店頭にはここに載せきれない
さらにクセ強めのトークンやコインたちが、
呼ばれるのを待ってるみたいに並んでます。

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