ロンドン王立取引所再建オープン記念メダルとは

03近代

🎩我々は奪っているのではない、与えているのだ
1844年 ロンドン王立取引所(Royal Exchange)再建オープン記念メダル
ヴィクトリア女王&アルバート公

英国のアンティークコインやメダルを見ていると、
明らかに【一般国民向けではない】ものが存在します。

誰が、誰のために作っているのか。
そして(宗教国家とは言い切れない)英国にとっての「正義」とは何なのか。

その二つの疑問を、非常に分かりやすく示しているのがこのメダルです。


1844年再建されたロイヤル・エクスチェンジ

祝われている施設は、
ロンドン金融・商業ネットワークの心臓部である
ロイヤル・エクスチェンジ(Royal Exchange)

火災で焼失した後、1844年に堂々と再建され、
その再オープンを記念して制作されたのが本メダルです。

コインではなくメダルであるため、
造形は非常に凝っており、立体感も際立っています。


誰が誰のために作り、配布したのか

▶︎資金を出したのはロンドンの金融エリート層
(中心にはロスチャイルド家を含む)

▶︎王室の名を借りて制作され、
金融取引に関わる商人・投資家・関係者向けに配布

目的は明確で、
同業の金融エリート同士のための記念品

仲間意識の確認であると同時に、
「自分たちは何者で、なぜ正しい側にいるのか」
という物語を共有し続けるための装置でした。


英国にとっての「正義」とは何だったのか

当時の王立取引所では、
植民地開拓に関わる債券や金融商品が扱われていました。

奴隷貿易、プランテーション、資源搾取。
生命・文化・土地を奪う構造の中心にあった場所です。

それにもかかわらず、
このメダルに刻まれているのは
秩序・建築・日付・肩書きのみ。

搾取や暴力の痕跡は、どこにも存在しません。


「文明を与えている」という思想


英国紳士たちには、
「奪っている」という認識はなかった。
自分たちは
文明を与えている側の正義
に立っているという意識があった。

・我々は奪う者ではなく、与える者
・文明・価値・秩序という恩恵を授けている
・未熟で野蛮なものが排除されるのは必要な犠牲

この思想があったからこそ、
罪悪感は生まれませんでした。


文明化使命(Civilizing Mission)という概念

この思想を理論面で支えたのが、
ジョン・スチュアート・ミル
(「未開社会に自由は時期尚早」)
アダム・スミス
(「商業は人を文明化する」)
といった経済・哲学の大家たち。

後世の研究では、
この「文明を与える側の正義」は
文明化使命(Civilizing Mission)
と呼ばれています。


正義の側に立つとき、人は最も暴力的になる

正義を自認した瞬間、
人は最も暴力的になれる。

このメダルは、
金融と経済を使って
それが実行されてきた証拠のひとつとも言えます。

一見するとただ美しい記念メダル。
しかしその裏側には、
人類のカルマとも言える思想が刻まれています。

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