清朝末期の光緒元寳【バリエーションと偽物】

03近代

中国製の贋作コインが多いのは有名な話です。
近年では、タングステンにゴールドパウダーをまぶした金貨まで出回るようになり、
レプリカ文化は年々進化しています。

しかし、中国古銭の世界における「模造貨文化」は、
近年に始まったものではありません。


19世紀、清朝末期。
地方ごとの鋳造文化の中で、
貨幣は中央管理から外れ、
亡国の末期、制度は崩壊していきました。

庶民が日々を生きるために、
私鋳という文化はスタンダードだったのです。

その結果、光緒元寳は
「正規鋳造」「地方鋳造」「私鋳」「模造貨」が混在する
極めてカオスなコインとなりました。


省ごとに違う、模造貨の出回り方

ただし、すべての地域で模造貨が多かったわけではありません。

  • 模造貨が溢れていた省
  • 模造貨がほぼ存在しない省

という極端な地域差がありました。

例えば、
田舎すぎる閉鎖的な内陸の交易圏では、
そもそも模造貨が流通しません。

また、
軍部が異様に強く、
私鋳=即処刑だった武漢三鎮のような地域では、
模造貨はほぼ出回らなかったと言われています。


ローカルバリエーションという魅力

こうした背景から、
光緒元寳は省ごと・工房ごとに
まったく違う表情を持つようになりました。

表情も、スタイルも違う龍たち。
ローカルバリエーションに想いを馳せると、
何時間でも眺めていられる世界です。

まさに、龍の表情を味わう銅銭


光緒元寳|偽物を見分けるポイント

実際の見極めでは、
以下のポイントを総合的に見ます。

  1. 書体
  2. 龍のウロコ・表情
  3. リム(縁)の高さや潰れ
  4. 重量の誤差
  5. 摩耗の質感
  6. 省と龍デザインの一致
    (特に戸部・江南)

欧米仕入れの現実

実は当店でも、
ヨーロッパから仕入れる際、
未鑑定・真贋不明のまま入ってくることが多くあります。

漢字文化を持たない欧米圏では、
光緒元寳の真贋を見極めるのは極めて困難。

だからこそ、
見て、触って、比べて、
目が鍛えられていきました。

3ポイントまとめ

  1. 光緒元寳は「地方×私鋳×亡国末期」から生まれた混沌の銅銭
     清朝末期、中央管理が崩壊し、地方鋳造と私鋳が常態化。
     その結果、正規・私鋳・模造貨が混在する“世界でも稀な貨幣群”になった。
  2. 省ごとに“偽物の多い地域/ほぼ出ない地域”があった
     交易圏・軍政の強さ・閉鎖性の違いで、
     模造貨の流通量は極端に分かれていた。
  3. 真贋は「龍・書体・縁・重さ・摩耗・省の整合性」の複合判断
     1点だけではなく、6項目の“ズレの重なり”を見るのが本質。

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