1969年にチュニジア共和国が発行した「History of Tunisia」シリーズ銀貨は、単なる記念コインではありません。独立から約10年、ブルギーバ大統領の下で国家としての誇りと文化的メッセージを世界に示すために造られた“歴史を武器にする”一枚です。古代地中海文明の象徴を取り込み、高純度銀で国際的な存在感をアピールしたその背景を探ります。
「History of Tunisia」シリーズの概要
推せる【知己の独立系政治家ブルギーバのHistory of Tunisia民族の誇りを考えるシリーズ】
銀貨整理してたら思わぬ胸アツ物語に出会ってしまったので聞いてほしい
それが1969年発行のHistory of Tunisiaシリーズ
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チュニジア共和国 1ディナール
1969年 記念銀貨╱.925╱20g
共和国政府発行(中央銀行)
シリーズとして10枚発行
表は歴史文化の一幕╱裏はブルギーバ大統領
造幣はイタリア╱米フランクリンミント
↑国内鋳造や旧宗主国のじゃないところもポイント!
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ブルギーバ大統領の政治理念と外交姿勢
独立して歩み始めて10年余り。
❶共和国としてのプライド
❷古代地中海文明という歴史の再利用
❸高純度の銀で国際的な金融安全性もPR=国家ブランディング戦略が込められている
背景は?
この頃チュニジアは、ナセルの汎アラブ路線と一線を画しつつ、
フランスやイタリアなど地中海ヨーロッパとの距離感も模索中。
ブルギーバ大統領(在1957–1987)どんな人?
フランス語を流暢に操るエリートでありながら、自国民の手による近代化を目指し、
「政教分離」を掲げた数少ないイスラム圏指導者
▶︎独立後のチュニジアは「宗主国フランスとの決別╱文化的優位関係を再構築」する必要があった。
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歴史性のあるコインをコレクター向けに
(しかも国外のミントで鋳造しPR効果↑)
あえて“国家としての知的価値”を強調!
主権国家として西欧とIMFに対して
介入を防ぐための小粋な挑発をした
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デザインに込められた歴史的メッセージ
ブルギーバのチュニジアは、銃ではなく歴史を武器に、自国の未来を西側に向けてアピール。そしてその手段こそ、この銀貨シリーズ
文化的知略と歴史と誇り、コインで仕掛ける”大人のケンカ”
バツグンの外交的センスと『不服従のメッセージ』カッコよくないですか?
……その後、1980年代初めまで、国家主導型経済や教育・人権政策でチュニジアの安定が続いた
(クーデターやアラブの春で、今はIMF傘下だけど)
銀貨のデザインは「海神ネプチューン」「フェニキア船」「聖アウグスティヌス」「古代ローマ神殿遺跡」など色々
それぞれのイラストに個別の”裏ミーニング”があります。 ↑要するに『君たち西欧より歴史ある国家ですから!』と言いたい
地中海の小国が西欧相手にコインで打ち出すアイデンティティ表明ーー 現代の我々日本人も考えさせられるポイントですよね*
アンティークコインばかりではなく、モダンにも『これは』というお宝があります。
ぜひ直に触れて当時の熱い温度を感じてみてくださいね!
この記事の要約ポイント3つ
- 1969年発行の1ディナール銀貨(.925/20g)、全10種類
- 独立後のチュニジアが西欧へ文化的優位性を示す戦略的デザイン
- 古代文明の象徴(ネプチューン、フェニキア船、聖アウグスティヌスなど)を通じたアイデンティティ表明
引用元
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