古代ギリシャとケルト世界が交わる場所、ガリア・マッサリア。
ここで発行された希少指数100のドラクマ銀貨には、女神アルテミスとライオンが描かれています。
そのデザインは「婚姻譚」を象徴し、武力征服ではなく文化的な合意によって築かれた都市の歴史を物語ります。
入荷情報・希少指数100 ガリア・マッサリア【アルテミス&ライオンが語る婚姻譚】ドラクマ銀貨
コインのミステリーへアブダクション、アメ横のヤバいコイン屋ことTLCです。
今回も読むほどに味わい深いコインをご紹介!ガリア・マッサリア(ケルト人)で発行された「ギリシャ風」銀貨。
古代ギリシャ世界って、どんな風にケルト世界と融合したのか。反発はなかったのか。
【併合パターンの方程式】が分かると、コインがもっと面白くなります。
いざ、紀元前2世紀の世界へ出発。
商品情報
発行地:マッサリア(現フランス・マルセイユ)
年代:紀元前2〜1世紀 約2.7g(AR Drachm or Tetrobol)
表:女神アルテミスの横顔《自然、狩猟》
裏:横向きに歩くライオン《覇権、権威》
鋳造精度:打刻5/5、保存4/5
ヌミスタ希少指数:100


マッサリアとは?都市と貨幣の歴史
古代ギリシャの植民都市マッサリア。交易によって築いた“文化交差点”都市。現マルセイユ、今も多文化と港の町として知られています。
《マッサリアがギリシャ化した伝説》
紀元前600年頃、小アジアの都市フォカイア(ギリシャ)からの航海民が到着
↓
現地の王女ギプティスが饗宴の場で客人の中から夫(プロティス)を選び、結婚=都市創建の儀式が成立
↓
初期は秤量銀(銀塊・銀リング)での物々交換!紀元前5世紀頃から、女神アルテミスとライオンを描いた本格的銀貨を発行!
アルテミスとライオンの意味
「神と自然、女と獣、都市と森──
ひとつの銀貨に結ばれた、文明の神話。」
ライオンは《権威や力のシンボル》。アルテミスは《自然界、狩猟などを司る女神》。
「権威(ギリシャ)と自然信仰(ケルト)」が部族間婚礼により、和合してひとつになった現れ=ライオン&アルテミスともいえます。
ちなみに“ギフト”という言葉の語源も…
英語 “gift” の語源は、原始ゲルマン語 geftiz(贈り物)。
王女ギプティス(Gyptis)は名前自体が、
・「gyp-」=授与(give)
・「-tis」=女性名接尾語
→ 合成すると「与える女性」。「gift」の象徴そのものです。
植民と交易、そしてローマとの対比
植民地だけど、植民地でもない…そんなマッサリア。実際にギリシャからは貨幣鋳造技術、建築様式、造船技術を得て、塩・鉄・皮革・琥珀を提供する交易を行ったとも言われています。
ところで、ガリアと言えば思い浮かぶのは共和政ローマ末期、カエサルによる《ガリア戦記》。あれはゴリッゴリの制圧モデルでした。
【武力制圧と共存的接続の対比が面白い】
実際に比較してみると……
- ギプティス王女の婚姻譚(前600頃)
ケルトの王女ギプティスが、フォカイアからの航海民に杯を渡して結婚し、異文化都市マッサリアを“合意により創建”。
⇒ 戦わずして都市と信仰を結ぶ婚姻神話のモデルケース。 - ウェルキンゲトリクス英雄譚(前52)
ケルト部族をまとめてローマに反抗したガリアの英雄。
カエサルに敗れ、ローマに処刑された。
⇒ 武力による抗争と殉死の英雄譚。
民俗学のセオリーとして(=日本でも)、制圧された歴史には英雄譚が残っていて、共存した歴史には婚姻譚が残っています。
英雄譚か、婚姻譚か?
ガリアのケルト世界・マッサリアの銀貨には、血なまぐさい戦争ではなく、ギリシャ世界(都市)とケルト世界(自然)の“合意”が刻まれていたのかもしれない。
両面に描かれた女神アルテミスとライオン──これは、狩猟女神と太陽の獣の、文化の結婚。武力で都市を征服せず、神話で都市を融合させた証し。銀貨と伝承に残るのは、当時の人々の記憶のかけら。
希少指数100、しかもハンマーのズレも少ない美品です。
ぜひお手に取ってみてください。御徒町・アメ横でお待ちしております。
まとめ:この記事の要約ポイント3つ
- ガリア・マッサリアで発行された希少指数100のドラクマ銀貨にはアルテミスとライオンが描かれる
- 婚姻譚を背景に、ギリシャとケルトが合意的に都市を築いた証し
- ローマの武力征服との対比から「共存の神話」が浮かび上がる
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